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学んだことの記録

『交渉力 結果が変わる伝え方・考え方』を読んで

なぜ読もうと思ったのか

別の本を買いに本屋に立ち寄ったらかなりの数が平積みされていたのが目についたことと、会社との交渉事に役に立つかと思ったので読みました。

どのような本か

大阪の府知事と市長の両方を経験した橋下徹さんの交渉の経験談を軸に、交渉で必要になる考え方を説いている本です。
交渉には以下の3つの点を知っておけばいい、ということでした。

  1. 利益を与える(譲歩する)
  2. 合法的に脅す
  3. お願いする

利益を与える(譲歩する)

相手に利益を与えることで、自分の利益を得るということです。
また、相手が困る状況をわざと作り出して、それを取り除くことで相手にとっては利益になるように見せる「仮想の利益」ということも書かれています。

合法的に脅す

相手に力を見せつけて脅すことです。
訴訟をちらつかせたり、選挙で対立候補を立てることを予告したりすることです。
これは敵対的交渉では使えるテクニックですが、Win-Winの関係を目指す協調的交渉では逆効果とのことでした。

お願いする

上記2点でも相手が動かない場合の最後の手段です。
橋下さんが大阪府の職員の給与をカットする政策を打ち出したとき、中学時代の恩師に給与を下げないようお願いされたということでした。

この本の構成は、上記の3点を踏まえて、実際に橋下さんが経験した交渉での具体的な行動プロセスを説明しています。
大阪だけでなく、国家間の問題について言及されており、それぞれどのような交渉を行ったかについて書かれています。
結論は、国も地方自治体も個人も力を持たなければ交渉はできないということでした。

感想

実務でその効果が証明された交渉術が完結に纏められた良書だと感じました。
特に、

交渉で一番大事なことは事前の「要望の整理」だ。自分の要望はもちろん、相手の要望も整理の対象だ。

ということは転職にも通じることだと思いました。
給与とか就業時間といったような待遇面も、これができれば後で後悔しないような交渉ができるのでしょうね。

机上の空論で終わらず、具体的な行動にどう結びつけるかを強く訴えています。
後付の理論で批判ばかりする人たちを「インテリ」と表現して、その人たちの言うことが現場で役に立たないと書かれているので読んでいて気持ちが良かったです。
同時に、自分が会社でその「インテリ」のような行動をとっていないか顧みる機会になりました。

また、地元である大阪で起きていたことがこれを読むことで色々と知れました。
橋下さんが府知事に当選した当時は何度もTVで報道されていたので、政治に興味が無かった高校生の僕でも橋下さんが大阪を改革しようとしていることは認識していました。
ただ、その後の具体的な政策については、僕は特に意識していなかったと思います。
高校が無料化されたり、地下鉄が民営化されたといった、自分の目で直接見える範囲のことは理解できていましたが、この本を読んで初めて知った改革が数多くありました。
これを読むと大阪がどれだけ税金を無駄遣いしていたのかって思えてきますね。

あと、トランプ大統領の交渉術をべた褒めだったのが印象的でした。

交渉力 結果が変わる伝え方・考え方 (PHP新書) 橋下 徹
https://www.amazon.co.jp/dp/4569846629/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_aqwMEbNDGXF8W